退職して博士後期課程に進学した理由
本ブログのタイトルにもあるように、私は博士前期課程修了後、大手企業に就職した理系研究員でしたが、退職して博士後期課程に進学しました。
今回は、なぜこのような進路を選択したのかについてお話しします。
理由は大きく3つです。
- 20代のうちに大きなチャレンジをしたかったから
- ニーズはあるが、企業ではあまり手が付けられていない研究をやりたかった
- 企業の業務を淡々とこなす生活に危機感を覚えたから
1. 20代のうちに大きなチャレンジをしたかったから
20代は多くの人が大学、大学院を卒業して就職し、仕事を覚える時期ですよね。
ですが、アメリカでは実は大学卒業後すぐに就職するのではなく、バックパッカーとして旅をする人やボランティアをするなど、卒業後すぐに就職しないのがメジャーです。彼らは大学卒業後ゆっくり自分がやりたいことを考えて就活するそうです。
何ていうか本当に自由ですよね。笑
ですが、やりたいことを20代のうちにゆっくり精査して自分の職種を選択する文化で育った人達によってAppleやGoogleのような世界的企業が創られたのも事実です。
何がやりたいか分からず、とりあえず就職する人がいる日本の新入社員と比較するとアメリカでは明確なモチベーションを持った新入社員なのでやる気が違いますよね。
実際にアメリカに限らず、留学生は何かの専門分野を学ぶと言う明確なモチベーションを持って海外の大学に進学・派遣されているので本当に研究熱心です。
バイトでも仕事でもそうですが、モチベーションや将来のビジョンを持って取り組む人はしっかり成果を出しますよね。
そういう文化の存在を知り、私も20代のうちにモチベーションのあるやりたかった研究をやろうと思い大きな決断をしました。
2. ニーズはあるが、企業ではあまり手が付けられていない研究をやりたかった
これが何かというと環境問題に関わる研究です。地球温暖化、海洋プラスチックゴミ等多くの人的被害で地球が汚染されてきました。
企業では社員を養うために利益を出す必要がありますが、このような環境問題ビジネスはなかなか利益に直結しないため、率先して注力している企業は多くはありません。
私は、社会人になる前から環境問題に関連した研究に興味がありました。だって、極端な話海洋プラスチックゴミが増えて10年後、20年後に魚が食べれなくなるような世界になっていたら嫌じゃないですか。
でも今のままだとその可能性があるんです。これは一例ですが、このような環境問題を改善させることに興味がありましたが、私の入社した企業ではほとんど手を付けておらず、大学で環境問題を改善可能な技術基盤となる研究をしようと思いました。
付け加えると、環境問題の表面的な情報はニュースを見たり、ググればすぐに出てきますが最新の詳細な現状や対策研究動向までは把握できません。
それらを知るためには学会に参加したり、社会科学に精通した教授にヒアリングする必要があります。
しかし、企業に属していると学会参加の機会は限られていることや競合他社の研究内容を聞けないといった制約があります。私はそういった制約なしに環境問題と向き合いたいと思いました。
3. 企業の業務を淡々とこなす生活に危機感を覚えたから
これは会社や部署によると思いますが、私が所属していた研究開発部署では自由に研究ができませんでした。
学生の頃、お世話になった先生のご意向もあり、いろんな学会に参加させて頂いたおかげで自分の研究以外の技術についても引き出しを多く持っていました。企業で研究をしていると「あの時に聞いた技術を使える!」という場面に合うことが多々あります。
しかし、私がいた部署では上司が考えたアプローチしか認めてもらえませんでした。
もちろん、自分の提案する研究アプローチが上司のものより劣っていたり、目的と違うベクトルの場合は却下されて当然です。
ですが、こっそり自分の見解の実験を行い、良い結果が出たので報告しましたが感情論で聞く耳も持ってくれませんでした。
間接業務が比較的少なく、バリバリ研究できる若手のうちに色々経験したかった私にとってはあまりソリが合いませんでした。
また、淡々と上司の指示に従う仕事をするだけでは技術も身に付かない、マネジメント能力も身に付かないので将来管理職になってやっていけるか不安に感じました。
それなら大学で自由に試行錯誤して研究した方が面白いし、そこでの失敗の良い経験になると考えました。
以上が私が博士後期課程に進学した理由です。
ざっくり言うと社会に貢献する技術を作るために何の縛りもなく研究がしたかったからです。
ただし、給料がなくなることや博士号取得の難しさ等も十分に考えました。楽観的な感情ではなく、それなりの覚悟を持ってこのキャリアを決断したことに留意してください。
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