博士前期過程(マスター)と博士後期課程(ドクター)の違いって何?

こんにちは、ばーしーです。

研究室に入ってない学部生からしたらマスターとドクターの違いってよくわからないですよね。

本日はこの違いを在学中と就職後まで踏み込んで書こうと思います。

・研究活動について

まずは研究室に所属している人の本職の研究活動についての違いです。

学部生の頃、研究室配属時に先生から研究テーマをもらい、その研究を実施します。マスター学生はそのテーマの延長線上ないし、そこから派生したテーマについて2年間研究します。学部生の頃は先輩や先生の指示通りに手を動かしますが、マスターからは自分で考えて研究します。また、学会にも参加し、自分の研究を外部の専門家の前でプレゼンします。

一方、ドクターの場合、研究テーマを自分で作り研究成果を出すことが求められます。また、一般的にドクター生は在学中の3年間でテーマを1つこなすのではなく、数件の研究を行います(多くは3件程度)。基本的に研究テーマ立案から研究成果を上げるまで一人で実施し、先生はアドバイザー的な立ち位置でサポートしてくれます。マスター同様に学会参加もしますが、マスターは国内学会が多いのに対しドクターになると国際学会への参加割合が増えてきます。加えて論文投稿もマストになります。もちろん論文は国際ジャーナルに投稿します。なので、コミュニケーションスキルや専門英語のライティングスキルが求められます。英語が苦手な日本人にとってドクターの鬼門の一つが英語ですね、、笑

・修了基準(求められるレベル)について

マスターでは学部4年の一年を含めて計3年間研究を行います。企業の研究者や大学の先生からすると研究を始めて3年目はまだまだ未熟です。いわゆる研究者の卵みたいな感じです。なので、研究テーマというよりマスター生は正しい研究アプローチが理解できているかどうかが重要になります。具体的には、研究背景と実施した研究に矛盾はないか、比較対象がちゃんと設けられているか、統計的にデータを解析できているか等です。修了審査は学内(学部学科内)の先生の審査によってのみ判断されることがほとんどだと思います。なので、よっぽど研究をしていないとか、研究アプローチ理解が足りないことがない限り修了できないことはありません。むしろ学部生の方が単位を落として留年している人が多い気がします笑。

ドクターになると修了基準のレベルが急に跳ね上がります。それは修了基準に論文投稿が含まれるようになるからです。多くの大学は博士課程修了に国際ジャーナルへの論文投稿○件以上という規定が設けられています(専攻によりますが、少なくとも工学系はほぼあります)。また、論文数も大学によって異なりますが、3件程度が一般的です。そのため、どれだけ自分が研究を頑張っても論文になるレベルの成果が出なければ卒業できません。論文になるレベルというのは研究の新規性や社会への貢献度があることを指します。つまり、誰かが既にやっている研究をやっていては新規性がありません。なので、ドクターには研究を進めるだけでなく新規テーマを生み出す発想力も必要になります。加えて、論文投稿には抄録審査があります。抄録審査とは、第三者の研究専門家が論文を読み、ジャーナル投稿に値するかどうか審査することです。全然知らないドイツやアメリカの専門家に抄録されることもあります。つまり、マスターは学内の先生たちのみに審査されるのに対し、ドクターは世界に通用するかどうかが修了基準になるということです。

・就活について

私もそうでしたが、マスターで就職する人が多いと思います。

マスターでは前述の通り正しい研究アプローチを見つけているかを判断基準に企業も面接を行います。

研究を遂行するにおいて研究アプローチを理解している「即戦力」として期待されています。

しかし、超大手企業になるとマスターレベルでは研究経験が不十分とと判断され、研究職に就けない場合もあります。

さらに理研といった国立研究所関係はマスターでは就職することはほぼ不可能です。

一方、研究が向いていないと感じた人は文転することも可能です。

理系経験があるので、数字への強さを活かして銀行やコンサルに就職する人もいます。

どうしても研究職に就きたいのであればドクター進学です。

ドクターは研究を遂行するだけでなく、自身で新たなテーマを生み出せる素養を有しているため、

「即戦力」だけでなく数年で役職も用意され、企業研究の促進への貢献に期待されます。

内定をもらうとほぼ確実に研究職に就けます。しかし、期待が高い分技量が足りなかった場合肩身が狭い思いをするとか、、

また、就職せずにポズドクになる人も多くいます。

大学教員や国立研究所のポスト待ちで引き続き大学や研究所で短期契約研究員として研究を続けます。

ただ最近はドクター生の採用を始めた商社もあるようでドクターでも文転が可能になってきたようです。

いかがでしょうか。

少しでもマスターとドクターの違いがわかってもらえましたでしょうか。

これからのキャリア選択の参考になれば幸いです。

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